弱化(軽声化)とは、重音節が何らかの理由で軽音節になる現象です。どちらかというと形態的な変化と捉えた方がいい現象も含みますが、ここでは一括して軽声化として説明します。
1. 動詞文標識の弱化
動詞文標識-tɛ̀~-dɛ̀〈-တယ်〉《叙実》や-mɛ̀〈-မယ်〉〈叙想〉は疑問の終助詞-lá〈-လား〉が後続すると-t̪ă〈-သ〉、-mă〈-မ〉と弱化した形式になります。(-t̪ă〈-သ〉の場合は頭子音も変わる)
動詞文標識-pì~-bì〈-ပြီ〉《活写》は疑問の終助詞-lá〈-လား〉が後続して弱化する場合としない場合とがあります。(発音が変化しても綴りはそのまま。)
2. bɛ̀-〈ဘယ်〉「どの~」の弱化
疑問の語 bɛ̀-〈ဘယ်〉「どの~」は、時により弱化します。弱化しないものもあります。やはり綴りは変化しません。
3. 数詞の弱化
ビルマ語の数詞には以下のものがあります。
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
၀ | ၁ | ၂ | ၃ | ၄ | ၅ | ၆ | ၇ | ၈ | ၉ |
t̪òuɴɲâ | tiʔ ~tă- |
hniʔ ~hnă- |
t̪óuɴ | lé | ŋá | cʰauʔ | kʰùɴ(niʔ) * ~kʰùɴnă- |
ɕiʔ | kó |
*「7」の単独形は kʰùɴniʔですが、速く数えるときなどには kʰùɴとなることがあります。
これらのうち、tiʔ〈တစ်〉「1」、hniʔ〈နှစ်〉「2」およびkʰùɴ(niʔ)〈ခုနစ်〉「7」は、後ろに助数詞や位の数が続くとき、弱化します。
なお、疑問の数詞 bɛ̀hnă-〈ဘယ်နှ-〉「いく…」は常に助数詞を伴って現れるもので、単独形はありません。