東京外国語大学言語モジュール

Irish English

アイルランド英語

アイルランド共和国では、第一公用語がアイルランド語(ゲール語の一つ)ですが、その母語話者は極めて少なく、第二公用語である英語が社会の共通語となっています。

アイルランド英語の発音は、北アメリカの英語に類似した特徴があります。アイルランド英語はアメリカ英語とカナダ英語と同様に、carやcartといった語で、母音のあとの/r/を発音するR音性的な(rhoticあるいはr-ful)英語です。それに対して、標準イギリス英語、オーストラリア英語、ニュージーランド英語は、上記の語で、母音のあとの/r/を発音しない非R音性的な(non-rhoticあるいはr-less)英語です。例えば、会話1のwork、finer、weather、会話22のdoor、here、forwardの語を聞くと、"r"が発音されているのがわかります。

アイルランド英語特有の発音としては、非円唇母音の/ʌ/(「ア」)が、円唇化して「ウ/オ」のような音で発音される点が挙げられます。"luck"は「ラック」ではなく、「ロック」(「ルック」)のように(会話2)、"otherが「オザー」(「ウザー」)のように聞こえます(会話8)。また、
thirtyの/θ/が[t]で発音され、「ターティー」のように聞こえ(会話29)、"those"の/ð/は閉鎖音[d]で発音されています(会話29)。

生活用語に関しては、イギリス英語と同じ語彙が多く使われます。例えば、「フライドポテト」chips(会話27)、「ガソリン」petrol(会話29)などです。

アイルランド英語固有の語や表現もあります。例えば、craic(会話8)は"fun"の意味で使われ、「元気です」は"Fine."の代わりに"Grand."(会話1)がよく使われます。

出演者たちは、日本在住のアイルランド人です。男性二人はダブリン出身、女性はアイルランド中部ロングフォード出身です。

「1.挨拶する」から「20.人を紹介する」は、アイルランド特有の語彙や語法、場面設定を多く含む会話です。これに対して「21.感謝する」以下の会話は、基本的には他の英語会話モジュールと同じスクリプトで、部分的に語彙や表現をアイルランド英語のものに変えています。

「教室用」ページでは4つの画面パターンを用意しました。

パターン1: それぞれの台詞を聞いて覚えるのに便利です。
パターン2: 台詞を見ながら聞いて書きとるのに便利です。
パターン3: 会話全体を聞いて覚えるのに便利です。
パターン4: 役割練習などを行うのに便利です。
担当する方は画面を自由に組み合わせて授業を行うことができます。

上のメニューから項目を選んでください。

このページは科学研究費助成事業24320106『社会言語学的変異研究に基づいた英語会話モジュール開発』(研究代表者 関屋康(神田外語大学),研究分担者 川口裕司(東京外国語大学),斎藤弘子(東京外国語大学),吉冨朝子(東京外国語大学),矢頭典枝(神田外語大学),フィル・マーフィー(神田外語大学))による研究の一環として公開しています。

開発者一覧
監修:斎藤弘子(東京外国語大学)、矢頭典枝(神田外語大学)
協力者:マレード・ニ・クイソン(Mairéad Ní Chiosáin)、マギー・リーブ(Maggie Lieb)、エリック・リンチ(Eric Lynch)、デヴィッド・マクロクリン(David McLoughlin)、新城真里奈、黒岩健人

海外アドバイザーJ.K. Chambers(トロント大学教授)からのメッセージ >>